(この記事は2020年4月6日に書きました)
チェコでは3月16日から外出禁止令、人の自由な移動の制限が出されました。そこから丸3週間が経ち、やっと毎日報告される陽性患者の数が落ち着いてきた、というところです。
こちらのグラフは、封鎖措置以後のR値の推移。Seznam.czから。

R値(基本再生産数)とは感染の増減を表す指数。4月5日の時点で1.1。
1以下になると感染者が減少するということですから、まさにあと一息で、国内の患者数の上では終息に向かうのではないかと期待が持てます。
同じように封鎖措置を取ったスロバキア、ポーランド、ハンガリーなどの近隣国に比べたらかなり患者が多いのは、封鎖前にもうすでに国内で蔓延していたということでしょう。
こちらの記事にも書きましたが、2月時点で多くのチェコ人がイタリア旅行に出かけていました。
そして国が「2週間の自宅待機」を命じたにも関わらず、約半数の人がそれを守っていなかったということがGPSなどから判明しています。
そんな事情もあり、色々ギリギリのところまで規制がかけられています。チェコは今まさに感染の拡大を抑えられるかどうかの正念場といったところでしょう。あとは、個人個人がどう動くのか・・・それ次第です。
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日本でも感染が徐々に増えてきて、緊急事態宣言や都市封鎖も現実味を帯びてきたようですね。
状況は様々な点で違うと思いますが、チェコの首都プラハでの封鎖を体験している身として、主に生活に着目して「どう変わったのか。何が問題となっているか。」ということを一般市民視点で書いておきたいと思います。
長くなりますが、全部読んでる暇ないよ!って方には、結論だけ。
『不安は不要!特別なことをしなくても生活できる!』
『こんな時こそ、助け合いの精神』
この記事でリアルな生活の状況を知ってもらうことで、「もしも都市が封鎖されたらどうなるの?」の不安を少しでも解消して欲しいです。
どうか、極度に悲観的になったり、ヒステリーを起こさないでください。

目次
- 封鎖ってどんな状況?
- 食料品は潤沢。物流は問題なし。
- レストランがダメなら、デリバリーでいいじゃない。
- サラリーマンの一日はそんなに変わらない。
- 学校閉鎖でオンライン授業。
- 病院にはかからない努力を。
- その他の生活に関わること。
- 一番大切なこと、それは周りの人との助け合い。
1、封鎖ってどんな状況?
まず封鎖において、出来ること、出来ないことを確認しておきます。
あくまでチェコ(プラハ)でのルールです。他の地域では違いがあると思いますが、この記事を読む上での予備知識としてください。
ここに書いているのは主要な部分だけです。細かい部分は省略していますので、そういった情報が欲しい方は他の詳しいサイトを参照してください。
×不要不急の外出禁止
○食品、医薬品などの買い物、通院、銀行、通勤など必要な目的の外出はOK
○家族・親近者の訪問OK
○自然の中での散歩、 犬の散歩OK
○ボランティア、近所の人のサポートOK
×外出時には、マスク(スカーフ等OK)着用義務。公の場で集まっていいのは2人まで。人とは2m以上距離を空ける。
×国外へ出てはいけない。外国人の入国禁止。
×食料品、医薬品、衛生用品、ガソリンなど生活必需品を取り扱う店舗以外全て営業停止。
×スポーツジム、プール、娯楽施設、タクシー、カジノ、図書館、博物館などエンターティメント系の営業停止。
○レストランは営業していないが、ドライブスルーやデリバリーでの営業は可。
×小中高大 全ての学校が閉鎖
つまり、具体的にどんな生活をしているのかを大雑把にいえば
幼保 自宅で過ごす。散歩はOK。
小中高大 自宅で過ごし、オンライン授業を受ける。
社会人
- エッセンシャルワーカー(医療、物流、食品、交通)通常通り、むしろ激務
- 一般企業勤め 通常通りの生活、リモートワーク推奨
- エンタメ系 休業中
- 飲食店系 デリバリー部門だけ稼動
- 年金受給者 自宅で過ごす。散歩はOK。
なお、休業補償については政府で話し合われているところです。家賃の保留や、税金の免除なども検討されています。それらの対策は、封鎖以後に話題になりました。つまり、補償があるないを決定する前に、第一にしなくてはいけないこと「外出禁止」を実行したのです。
2、食料品は潤沢。物流は問題無し。
一番、不安に思われるのは、ここではないでしょうか。
封鎖が行われる前、レストランや一般のお店の営業停止が命じられました。その時、チェコでも「もうすぐしたらスーパーも閉まってしまうのではないか」という不安がたちこめ、一部の商品で品切れが出ていました。トイレットペーパーや、小麦粉、米、パスタなどの日持ちのするものです。
しかし、通常の物流の流れでスーパーの商品は間も無く復活し、人々も「これは大丈夫だな」という安堵を感じるようになりました。それ以降、買い占めは起きていません。
さて、今はどうなっているのか。
一緒にスーパーにお買い物に出掛けながら、見て行きましょう。
まず、「お年寄り・ハンディキャップのある方専用の買い物時間」が設定されました。こういった方がコロナ感染した場合の重症化のリスクの大きさを考慮しての措置です。

最初に発令された時には、午前10ー12時という設定でしたが、働いている人がランチを買えない・・・ということにすぐに気づき、翌日には午前7ー9時に変更されました。現在は8ー10時になっています。こういった柔軟に変更対応できる政府は、機能しているなと感じます。
では、一般の方の買い物が許可されている時間にスーパーに向かいましょう。もちろん、マスクを着用して外出です。家族で楽しいお買い物タイムはできません。なぜなら「一人で行くこと」が要請されていますから。小さい子がいるママは、よっぽどでない限り買い物に出られませんね。
旦那は毎週末一人で大きなスーパーマーケットに買い出しに行ってくれていますが、彼によると実際には2人で来ている人が多いようです。買い物客も、平常時とさほど変わらないようです。
さて、スーパーマーケットに到着しました。
入り口には、おっと何か置いてありますよ。
これは・・・パンを掴む時に使う、ビニールの手袋!
なぜここにあるかって?これを着用して入店する為です。ここに来るまでにいろんなものを触ってきたであろう手で商品を触らないため。この手袋を無料で提供することが、店舗には義務とされています。
それでは、買い物カゴを持って行きましょう。

「でも、これも誰かが触っているだろうし、触りたくないな・・・」という心配はご無用。1時間ごとにカートやカゴの消毒が指示されています。
「本当にやってるのかな?」という疑問をほのかに抱きつつ、手袋もつけたことだし、さて店内へ。
お店にはいつもどおり商品が並んでいます。いつものように、セール品もあるし、今はイースターの準備向けの商品が多いですね。明るい色合いや、可愛いウサギやたまごのイラストが、今年はなんだか少し寂しげです。
日用品、野菜、お菓子・・・いつもと変わらないですよ。
おや?様子が違うのが、パンコーナー。
普段は裸で売っているチェコ名物「ロフリーク」が、最初から袋詰めにして売られていますね。また、自分で袋に詰めて買うタイプのコーナーは大幅に縮小されています。
手袋の件もそうですが、とにかく「誰かが触ったかもしれない」「誰かの咳が掛かってるかもしれない」ということを極力防ぐ努力をしています。
大きなマーケットには普通、対面・量り売り販売のコーナーがあります。肉や、魚、チーズ、ソーセージなどを希望の分だけ取り分けて販売してくれます。しかし、そういった対面販売コーナーも今、閉じられています。
レジのおばちゃんは、マスクと手袋を着用し、かなりお客さんから体を話して座っています。多くの人と接触するリスクの高い仕事ですが、こうして働くことを選んでくださっているのですから、頭が下がる思いです。
小銭や紙幣は物に触るというのでウイルスの移動の可能性があります。
こんな時、非接触型のカードがありがたいですね。チェコではデビットカードが主流です。金額が大きくなると暗証番号を押す必要があるので、できれば少量の金額にとどめておきたいところです。ちょっと気にしすぎかな?と思いますが、このウイルスの感染力を考えたら致し方ありません。
お家に帰ってきたら、マスクを外し、手洗いうがい!マスクは毎日煮沸消毒、そしてアイロン掛けも推奨されています。
服は全て脱ぎ、お風呂に入りましょう。特に、髪の毛はしっかり洗った方がいいです。本当に感染を防ぎたいと思うのならば。
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さて、どうでしょう?特に困難な点はありませんでした。ほぼほぼ、食品は普通に買い物できます。これも、封鎖が行われているにも関わらず店舗を管理・運営してくださってるお陰です。関わってくださっている全ての方々に感謝です。物流もしっかり機能していて、ありがたいです。
しかしやはり感染が怖いし色々面倒ということで、ネットスーパーが大盛況のようです。Tesco、Košík(コシーク)、Rohlík(ロフリーク、さっきも出て来たチェコのパンの名前が店名になっています。)など選択肢があります。
我が家ではテスコの配達をかねてから利用しています。コロナ禍以前は、翌日配達も出来るくらいに空いていたのに、今や3週間近くまで埋まっています。仕方がないことではありますが、発注してから届くまで時間がかかるので、ネットショッピングは余裕をもって!
3、レストランがダメなら、デリバリーでいいじゃない。
レストランは営業停止。当然、外食出来ません。配達は可能なので、ウーバーイーツのようなサービスが大人気です。
とはいえ、すべての料理、レストランが配達対応しているわけではありません。選択肢は限られています。ピザ、ケバブ、チェコ料理、ベトナム料理、マクドナルド、KFC・・・。

私としては、日本食やラーメンや韓国料理が無性に食べたくなりますがそういった選択肢が無いのが残念なところ。
封鎖により、学校、仕事がなくなり、子供や家族が一日中ずっと家にいるという状況という家庭もあります。そんな時、毎食ちゃんとした準備は結構大変です。こんな時なのだから多少手を抜いて、たまにはデリバリーも利用して、根を詰めすぎずに乗り切りましょう。
4、サラリーマンの一日はそんなに変わらない。
ある貿易会社に勤めるサラリーマンの一日を見てみましょう。
まず朝起きて、支度をし、会社に向かいます。マスクを忘れずに着用しましょう。

メトロ、トラム、バスとプラハの公共交通機関は充実しています。現在は全て、祝日のダイヤで運行しています。つまり、かなり本数が絞られています。
平常時では、通勤通学時間となると、満員電車というほどでもないですが座席は全て埋まり、立っているお客さんもけっこういるくらいには混んでいました。しかし、今ではずいぶん空いた印象です。リモートワークが推奨されていますので、家でお仕事をされる方、または飲食店などの勤務がなくなったので、それで乗客が減っているのでしょう。
乗客は、もちろんみんな鼻と口を覆っています。マスクである必要はありません。手作りの可愛い花柄をつけたおじさんもいれば、マフラーで覆っている人、コートの大きな襟を立てて衝立にしている人、コーヒーフィルターにゴムをつけた工作マスク・・・。バリエーションも発想も様々で、なかなか感心します。
会社に到着しました。消毒液が置いてあることもありますし、なければもちろん石鹸で手を洗うところから始めます。
業務中も、マスクをしています。苦しいからと少し休憩に外している人もいますが、なるべく着用しましょう。
幸いにも、この会社にはまだ陽性が出た人はいません。そのためか、リモートワークは進んでいません。自宅で出来る仕事ではない、ということもあります。
しかしある社員は、今自宅で業務をしています。というのも、配偶者の勤務する会社で陽性患者が出て、接触がわずかながらあったとみられるから念のためです。
ランチタイム。今まで外のレストランに食べに出ていた人も、スーパーで買ってきたものや家で作ったものを持ってきています。デリバリーを会社に頼む人もいます。
通常通り仕事をこなします。今のところ、大きな損害損失はありません。影響が出るのは、これからです・・・。今後の経済はどうなるのか、それは大きな不安要素です。
業務が終われば、まっすぐ帰宅しましょう。
仕事帰りにちょっと一杯と行きたいところですが、居酒屋は営業していません。店内に入らず持ち帰り営業は可ということで、封鎖初期は、店の前でビールを飲む人が少なからずいたようです。政府はかなり厳しく注意していました。ビール好きのチェコ人には辛いですが、ここは自宅の晩酌で我慢しましょう。
仕事帰りのサッカーも、ホッケーも、ジムも全て禁止です。これを生きがいにしていた人にとっては、結構辛いですね。そういった方は、自宅での楽しみ方をみつけるしかありません。皆、どうやって空いた時間を使っているのか?は、こちらの記事を参考にしてください。
帰ったら手洗い、うがい。シャワーも浴びましょう。マスクは煮沸消毒、後日、できればアイロンがけです。なので、洗い替え分も余分にマスクは必要ですね。
そうして一日が終わります。お疲れ様です。
意外とあまりかわらない様子だということが分かっていただけたでしょうか。
5、学校閉鎖でオンライン授業。

学校での授業が無くなります。最初はしばらくは全く何もなく、親が勉強を教えなければならなりませんでした。1週間くらいして、オンライン授業が始まり、子供達はそれにしたがって勉強をしたり、宿題をこなしたりしています。学校からのお知らせなどもメールで来ると思うので、しっかりチェックを怠らないこと!メールを見ていなかったある友人は、1ヶ月分の課題を大慌てでやっていました・・・。
大学も同様で、今はオンラインで授業しています。5月中頃まで授業の休止が決まったので、その間日本に帰るという留学生も。オンライン授業なら、日本にいても出来ますから。そもそも、日本から帰国命令がでて帰国した留学生もいます。留学生にとっても、非常に厳しい年となってしまいました。
ちなみに、オンライン授業のメリットもあります。講義が録画であったり、またオンライン授業を録画したりできるので「わからなかったところがもう一度聞見れる」というのは、異国の地において異言語で授業を受けている学生にとっては地味に助かるポイントのようです。
6、病院にはかからない努力を。
ありがたいことに、一般的な診療所は通常どおりです。
こんな時期ですが、急な病気・怪我で入院することになるかもしれません。しかし注意したいのが、大きな病院ではお見舞いが禁止になっています。面会者が感染を持ち込む可能性があるからです。
実は私の義母は、封鎖が行われるか行われないかという時期に、骨折して入院してしまいました。上記の状況ですので、面会はおろか、入院に必要なものを届けることすら出来ませんでした。(入院に必要なものは、病院に預ける形でした。)
こんなときだからこそ、より一層、怪我や病気をしないように、気をつけなければならないと気を引き締めています。
また、一般的な風邪のような症状でも、下手に病院へ行って待合室でコロナ感染・・・という可能性も無くはないです。極力、病院にはいかないこと。
また、産婦人科の話ですが、旦那の立会い出産が認められないという問題があります。感染を防ぐため、必要最小限の人数で・・・と分かってはいても、納得出来ない妊婦さんも少なからずいるようです。新型コロナウイルスが胎児や新生児にどんな影響をもたらすのかまだ未知ですから、一人で産まざるを得ない状況になっています。
7、その他の生活に関わるこ と。
・美容院、床屋、ネイルサロン

勿論閉鎖。出張美容室というのもダメ!イタリアの市長も激怒されていたとおり。「いくら綺麗になったからといって、棺桶に入っては誰も見やしないぞ!」自分でするか、もういっそほっときましょう。多少ボサボサでも、死にはしません。もしくは、YouTubeなどでセルフカットの方法が見つかりますので、器用さに自信のある方はチャレンジしてみてください。
・マスクについて
毎日マスクを着けて、しかも殺菌とかの手入れもしなきゃいけないというのは、一見めんどくさそうですが、慣れたら意外と苦になりません。ルーティンのひとつになるだけです。
「あなたのマスクは私を守り、私のマスクはあなたを守る」
チェコで使われているちょっとしたスローガンです。
マスクは自分の感染予防ではなく、他人に移さない為の手段です。また、一般市民が布マスクを使うことで、医療現場に使い捨てのマスクを供給することが出来ます。
街ゆく人がマスクをしているのは、他人への気遣いなんです。それが布マスクであれば、医療現場への負担軽減にも寄与しています。
マスクは相互援助の象徴。少なくとも、チェコではそのように捉えられています。
ちなみに、チェコで一番メジャーなタイプのマスクの作り方はこちらです。ゴム紐不要!
・郵便物
日本では4月2日から、国際郵便物の発送が停止されました。飛行機の便が減っているためです。この約1週間前に、実家から我が家に発送された荷物はどうなるのか・・・とやきもきしているところでしたが、最近問い合わせてみれば、時間はかかるが、届くはずだと返答がありました。順番待ちもあるでしょうから、一体いつ我が家に到着するのやら・・・。この微妙な時期に、国際郵便は極力避けた方が無難だと思います。
また、マスク義務化が行われた数日後にはチェコ郵便は「マスクの配送は無料」という特別サービスを設けました。ボランティアとして制作したマスクを無償で届けたいが、郵送料がかかるのはちょっと・・・というのが問題になっていましたが、このサービスにより見事解消。郵便局の柔軟な対応は良いと思いました。
・イベント
春に予定されていたイベントは、延期という形が多かったです。秋のこの日に延期する、というはっきりした予定も組まれているケースもありました。秋、またそれ以降は、今よりはよい状態であることを信じたいですね。
一番最後まで通常どおりに戻れないのは、ライブ関係だと言われています。
そんな中、劇場やライブハウスなどを支援したい人のため、架空のフェスを想定したチャリティーが立ち上げられました。Festival of Nothin 2020。実際のライブはありませんが、普段座席チケットを買う要領で、募金ができます。悲観するより文句を言うより、こういった前向きな行動をとることが必要だと思いますし、賛同する人も多いと思います。
・犯罪が減少
警察の発表によると、一般的な軽犯罪は減少しているそうです。一部、治安の悪さで有名なŽižkov(ジシュコフ)では、半数になったと。封鎖により、街に人が少ない上、警察がパトロールしていますからね。犯罪者も外出禁止を守っているのでしょうか・・・。
・・・
どうでしょう?
ここまでで一般生活の様子については一区切りです。
細かな規制や、不便なこともありますが、大まかなところはいつもの生活とそんなに変わらないという印象がありませんか?
都市封鎖、ロックダウン・・・言葉のもつイメージで恐怖心を煽られますが、実際には全てが停止したりすることはありません。イタリアのように、パンデミックが行き着くところまで行けば話は別ですが。第一段階としてそんな恐怖映画のようなことにはなりません。むしろ、これはダメ、とはっきりと線引きされているだけ何をすればいいか自信をもって行動できるので、不安感が薄らぐと思います。
10、一番大切なこと、それは周りの人との助け合い。

封鎖され、外出禁止となった毎日は、ともすれば非常に孤独を感じてしまうものになってしまいます。この不安定な生活がいつ終わるのかという不安もあるでしょう。そんなとき何が必要でしょうか?
人との繋がり、人と人の助け合いが精神的な支えになります。
しかし、人と会ってはいけないのにどうやって助け合いをするのか?
チェコでは、いえ、世界の外出禁止令が出ている各地域では、それぞれ誰に言われたわけでもなく、自分がやれることを見つけて、実行する人たちがいるのです。例えば・・・
手づくりマスクは、作れる人が近所の人にも配布しています。大量に作って、病院や老人ホームなど必要とされているところに寄付する方もいます。
買い物、犬の散歩を代行すると進み出る人が、アパートの共有部分に張り紙を出しています。
物資の余っている人は、無い人に提供する。お店などでは、病院・警察などに水や食料を無償で提供しています。
そんなこと自分には何も出来ない、という人。募金でもいいでしょう。売り上げの一部を寄付するといった商品も出ています。イタリアやスペインから始まった運動、「午後8時になったら、最前線で働く人たちのために、拍手をする」というものも、チェコの一部で行われています。そういった活動に少し加わるだけでもいいのです。
直接的なことはなくとも周りとの繋がりを感じられると、皆が協力して乗り越えるんだ、という思いを抱くことができます。そしてそれこそが、感染症対策として一番大切な心がけであると思います。ひとりの身勝手な行動により、たくさんの人が被害を被る、こんな状況ですから。
冒頭にも書きましたが、首相の発表によれば、普通の生活に戻れるのは5月末の見通しとのこと。
あと2ヶ月・・・。
長いと感じます。ただ、そうするしかない。ただお家にひきこもって、嵐が通り過ぎるのを待つばかり。そうすることで、自分が知らない感染源になってお年寄りやリスクのある方に移さないよう、またこの大変な状況の中、最前線で戦ってくれている医療現場の方・警察・消防等にいる方の、大きな負担を減らすことになるのですから。
幸いにも、状況が良くなる兆しも見えてきました。長らく営業停止となっていた店舗のうち、いくつか(靴、文房具、ハードウェア、作業着、子供の服)はそろそろ営業再開ができる見通しです。これからは規制が徐々に緩和されていくのでしょう。でもそういった時にこそ今一度気を引き締めて感染拡大防止に取り組まなければなりません。
この状況なってしまった。もうここまでは取り返しがつかない。でもこれからは変えられる。
だから、私たちは今できることを精一杯するのみです。そして自分にあった小さな楽しみや、息抜きの贅沢などを生活に取り入れながら、みんな同じく頑張っているんだということを自覚して、なんとかかんとか、乗り切りましょう。我慢すればするほど、窮屈な生活は早く終わるはずですから。