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小説『HHhH』 第二次世界大戦、チェコのレジスタンスを描いた史実

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ローラン・ビネ著『HHhH』

こちらの本をご紹介します。

『プラハ、1942年』と副題が付いたこの「小説」。
ドイツ第三帝国(ナチスドイツ)の支配下にあったチェコスロヴァキアにおける、事実上のこの国のトップ「ハイドリヒ」を暗殺する計画のお話です。

「小説」とカッコ付きで書いたのは、この小説はノンフィクションを純文学で書いた作品だからです。つまり、内容は史実。このことを理解した上で読んでください。

最初の方はなかなか、とっつきにくい印象ですが、この暗殺計画(エンスラポイド作戦と名付けられていました)の実行、そしてその後の教会の地下での攻防の場面になると、本当に手に握る展開になり、一気読みしてしまいました。

物語は史実ですから、結末は知っています。暗殺計画はほぼ成功し、そしてレジスタンスは皆殺しになります。それでも、レジスタンスの人たちがなんとかして助からないのか、と祈りをこめて読まずにはいられませんでした・・・。

本の内容的にはかなり重い読後感を得るものです。戦争の怖さ惨さをありありと感じます。しかしこの本に関しては、さらに続きがあります。重要な舞台となった場所が、プラハに今も保存され、見学できるのです。私は読み終わってすぐにその二つの場所に足を運びました。

一つ目は、暗殺計画が実行された場所。まさにそのカーブのところです。今は記念碑と、歴史を紹介するパネルが立っていました。

モニュメント
モニュメント

思っていたよりもずいぶん、緩いカーブでした。この3人の像、この立ち姿・・・。当時を生きた人々の悲壮な思いを感じました。

歴史を語るパネル。

プラハ8区にあります。中心地からは少し離れていてわかりにくいですが、この歴史に興味のある方はぜひ足を運んで見てください。
Památník Operace Anthropoidと検索したら、地図上にも表示されます。

もう一つは、壮絶な攻防が行われた、教会の地下室です。
聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂という名前で、こちらは割と中心地の近くにあります。

教会の外壁には、当時の銃痕が残っています。その歴史の傷跡を見るだけでも、心が鷲掴みにされる思いですが、なんとこの教会、地下室にも入れます。

足を踏み入れたとたん、そこだけなにか違う次元にいるような感覚に陥りました。地下室だからひんやりしているというのもありますが、歴史の重み、チェコスロヴァキアが歩んできた支配されつづけた苦しい時代、レジスタンス自身の悲壮なる覚悟と最期の時の思いはもちろん、レジスタンスに託された当時の人々の一縷の思い・・・そういった目には見えないものが、その地下室にはしっかりと保存されていたように感じました。

作戦に参加した人々は、国民的英雄とされ、この地下室に肖像画や遺品が展示されていましたが・・・もう言葉になりません。

小説で、深くその史実を知った上で、この二つの場所を訪問されることをオススメします。

チェコスロヴァキアの歴史は、様々な大国に支配されてきた歴史でもありますが、その一角をありありと感じられる体験になることを保証します。

チェコという国の魅力のひとつは・・・そういった悲壮な歴史の上に、今の美しい街並みがあること、また、支配され抑圧されてきたけれどもなお我慢強く生き抜いき、この国を愛し守っている国民がいるということ。そんな奇跡を感じられることだと思います。

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